funkpharmのブログ

勉強記録です。引用などされる際は必ず原著をご確認のうえ自己責任でお願いいたします。

プロポフォール注入症候群(PRIS)

Propofol infusion syndrome: a structured review of experimental studies and 153 published case reports.
Adéla Krajčová12*, Petr Waldauf3, Michal Anděl12 and František Duška134



Propofol infusion syndrome(PRIS)はまれだが致死的な副作用である。定義はないが多くは原因不明の代謝性アシドーシス・横紋筋融解症・高カリウム・肝腫大・腎不全・高脂血症不整脈・ブルガダ型心電図・急速に進行する心不全などが現れる。

1990年代早期に小児での報告が続き、その後成人例が報告された。
その後のLancetでの報告を受け、FDAは小児への長期の使用について警告し、2006年には最大投与量を4mg/kg/hrへと改定した。

 

PRISが疑われる153名に関する94の原稿について解析。

 

1990年代では肺炎の小児への過量投与によるPRISが多かったが、近年は通常投与量で軽度な原因不明の代謝性アシドーシス・CK上昇を示す成人・高齢者例が多い。ときにAKIや不整脈がみられるが、その他の症状はみられないことが多い。これらは投与の傾向が変わったことを反映しているかもしれない。

PRISによる死亡の予測因子は少なく、累積投与量が最も重要であった。
TBI(Traumatic Brain Injury)と発熱は死亡率と有意に関連していた。

心不全・代謝性アシドーシス・発熱・低血圧は投与速度が速いとより起こりやすく、投与期間とは無関係。中でも心不全・代謝性アシドーシスはより早期に現れる。

不整脈やそのほかのECG上の変化は投与量にかかわらず48時間以上投与された例で現れやすかった。

横紋筋融解症および高脂血症は累積投与量に依存し、投与96時間以降、高用量で出現しやすくなる。

AKIと肝腫大は投与量・投与期間とは無関係。肝腫大は累積投与量に関連する傾向はみられた。